ビットシェアーズプラットフォームとは?DPoSやDEXの特徴や将来性

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ビットシェアーズとは

ビットシェアーズ(BitShares)という仮想通貨を知っていますか。日本国内では取り扱っている取引所がないので、知らない人も多いかもしれません。

よくリップル(XRP)と性質が似ていると言われたり、「ビジネス向け分散型金融ソリューションプラットフォーム」と説明されますが、これだけでは意味がわかりません。

ビットシェアーズは単なる仮想通貨ではなく、プラットフォームとしてInvictus Innovations社によって2014年に開発され、その後2015年にビットシェアーズ2.0へバージョンアップすると同時にCryptonomex社へ開発が引き継がれました。

ビットシェアーズはプロジェクトの名前であり、ビットシェアーズネットワークというプラットフォームのことです。そして、このビットシェアーズネットワーク上で流通させることができるトークン(通貨)を「BTS」と言います。

つまり、同じようにプラットフォームとして存在するイーサリアムとイーサー(ETH)、ネムとゼム(XEM)などと同じ性質、関係性だと考えて良いでしょう。

では、ビットシェアーズのプラットフォームは何が特徴的で、どのような役割を担っているのでしょうか。

今回は、ビットシェアーズについてお話したいと思います。

ビットシェアーズのスペック

まずは、仮想通貨としてのビットシェアーズのスペックを見てみましょう。ビットシェアーズの時価総額はおおむね全体の30-50位前後ほどで、有名なアルトコインではオーガーやドージコイン、モナコインなどと同じ位です。

発行日 2014年7月
名称(通貨コード) BitShares(BTS)
合意形成アルゴリズム DPoS(Delegated Proof of Stake)
発行上限 約37億BTS
ブロックタイム 約3秒

ビットシェアーズネットワークとは

ビットシェアーズネットワークには、いくつかの機能が搭載されていますが、それらは分散型自律企業(DAC)の実現を可能にするための機能です。

分散型自律企業とは、ブロックチェーン上で人の手の介在を排除し、条件が満たされれば契約が履行され、取引が自動的に成立する企業活動の仕組み・考え方のことです。

参考|分散型自動化企業|DACとは?ブロックチェーン・分散管理の進化 | FIN-ROUND

つまり簡単に言うと、ビットシェアーズプラットフォームを使えば、誰もが気軽にリスクもコストも可能な限り押さえてお店を開くことができるというプラットフォームなのです。

そしてビットシェアーズネットワークには、分散型自律企業(DAC)を実現するために以下の3つの機能が備わっています。

  1. 分散型取引所(DEX)機能
  2. ペッグ通貨機能
  3. 独自通貨発行機能

ビットシェアーズネットワークの機能

1.分散型取引所(DEX)機能

仮想通貨取引にはウォレットが欠かせません。例えば仮想通貨取引所には所持コインの一覧が確認できる部分がありますが、あれは取引所に備えられたオンラインウォレットです。また、仮想通貨は銘柄ごとに公式ウォレットが存在します。

参考|仮想通貨取引に必須!ホットウォレットとコールドウォレットの違い | FIN-ROUND

オンラインウォレットはATM機能が備わった財布のイメージで、標準で入出金(送金、受取)機能を持っています。

ビットシェアーズ公式が提供するウォレットには、ATM機能に加えて「取引所の機能」も搭載されています。取引所が提供するウォレット機能ではなく「ウォレットに搭載された取引所機能」です。

この取引所機能には仲介・管理する機関(人)が存在しません。すべてブロックチェーン上で自律的に動作する「分散型取引所(DEX/Decentralized Exchange)」の形式です。

企業や組織が運営する取引所は、マウントゴックス事件やコインチェック事件のようにハッキングや運営関係者の持ち逃げなどのリスクがあります。

ところがDEXには管理者自体がおらず、特定サーバーで顧客資産が管理されているわけではないため、取引所特有のリスクがないだけでなく手数料コストも低く抑えられます。

ビットシェアーズではDEXをいち早く取り入れ、ビットシェアーズネットワーク内で基軸となる通貨BTSを用いて、ユーザーが簡単かつ効率的に取引できる環境を提供しています。

ちなみに、ビットシェアーズの分散型取引所機能(DEX)は、オープンレジャー(OpenLedger)というベース技術で動いています。

オープンレジャーはデンマークの取引所「CCEDX(Crypto Coins Enterprise Denmark)」とビットシェアーズ開発チームとが共同で開発したもので、ビットシェアーズプラットフォーム上で分散取引所(DEX)を構築するためのアプリケーションです。

オープンレジャーは、世界で初めて作られた分散取引所ということで一躍有名になりました。

2.ペッグ通貨(トークン)機能

ビットシェアーズネットワーク上には、「スマートコイン(SmartCoin)」という機能があります。スマートコインとは、基軸になるBTSとは別に4つの法定通貨などにペッグしたコインのことを言います。

BTSはビットシェアーズネットワーク上の基軸コインなので、ネットワーク外での一般的な仮想通貨市場でも売買が行われます。

BTSを所有する場合、価格が上昇傾向であれば価値が上がっていくため良いのですが、下落傾向に転じた時、通常は法定通貨に交換して利確や損切りなど処理を行うか、持ち続けて上がるのを待つかの2択になります。

ところがスマートコインであれば、価格が下がりだした時に法定通貨など以下の基準価値に連動したコインに交換することができます。

  1. USドル(BitUSD)
  2. ユーロ(BitEUR)
  3. 日本円(BitJPY)
  4. 中国人民元(BitCNY)
  5. ビットコイン(BitBTC)
  6. ゴールド(BitGold)
  7. シルバー(BitSilver)

こういった何かの価値に連動して価格が決定する通貨をペッグ通貨と言いますが、仮想通貨では他にテザーがペッグ通貨として有名ですね。

参考|ドルと連動する仮想通貨テザーとは?特徴と各国の購入メリット | FIN-ROUND
参考|テザー問題で仮想通貨が崩壊?価格操作やドル未保有疑惑の真相は | FIN-ROUND

BTS価格下落時の回避用としてこういった価値固定のコインに交換するというのも用途として便利なわけですが、その場合上記のような様々な種類のペッグコインは必要ないですよね。

なぜ様々な種類のコインが発行されているのかというと、国際送金に効果を発揮するためです。この分野ではリップル社のXRPに代表されるプロジェクトが有名ですが、同じようなことがビットシェアーズでも可能です。

また、スマートコインの存在意義はビットシェアーズネットワーク内での経済活動にもあります。

基本的にはBTSを使えば問題ないのですが、前述した通り価格変動があるため通常の決済通貨として使うには少々不便です。

ネットワークで何かを決済する際は、主要な法定通貨やBTC、金や銀に連動したスマートコインにも替えることができるため、様々な価値での取引が行いやすくなります。

3.独自通貨発行機能

最後に独自の通貨を発行する機能、「UIA(User-Issued Asset)」です。

独自通貨というとピンとこないかもしれませんが、「独自の価値を持ったチケット」と考えてください。お店などで発行されるポイントカードや割引きクーポンなども、ある種「独自の価値を持ったチケット」です。

独自通貨発行機能を使えば、ビットシェアーズネットワーク上で何かの価値と何かの価値を交換するビジネススキームを簡単に構築できます。

このような独自通貨発行機能のコンセプトはイーサリアムやネムも同様で、独自のコミュニティの中での経済活動を手助けするツールが用意されているという概念です。

ビットシェアーズの使用事例

ビットシェアーズのプラットフォームとオープンレジャーを使った有名事例が、ピアトラックスの「MUSE」というプロジェクトです。

参考|MUSE – Music World

MUSEは音楽を提供したいアーティストとファンを直接繋ぐプラットフォームとして機能し、仲介業者を介さずアーティストとファンが直接取引を行えます。

日本ではJASRACを始めアーティストマネージメント、レーベル、販売店手数料などの関係者が数多く存在し、楽曲の価格もそれに応じて決定されます。

海外ではamazonやiTunesなどでのダウンロード販売が増えてきていますが、やはり30-40%の販売手数料がかかります。それに対してMUSEの場合は販売手数料が5%ほどで済みます。

もちろん取引された履歴は全てブロックチェーン上に記録されるため、高い透明性も兼ね備えています。

MUSEではアーティストごとにオリジナルトークン「note」を発行でき、noteがファンとのコミュニケーションに使われます。

noteは握手券や特典ポイントとして機能するなど、様々なインセンティブになります。そして、アーティストの人気とともにトークンの価値も上がるため、アーティストを応援するほど得をするということも考えられます。

ビットシェアーズ(BitShares)の仕組み

実際ビットシェアーズネットワーク自体はどう運用されているのでしょうか。

ビットシェアーズでのコンセンサスアルゴリズムは「DPoS(Delegated Proof of Stake)」を採用しています。これはLisk(LSK)も採用している方式で、ビットコインに使われている「PoW」の発展系にあたります。

参考|プルーフオブワーク|PoWとプルーフオブステーク|PoSの違い | FIN-ROUND

DPoSは一般的に間接民主制のようなものと例えられ、選挙によって選ばれた代表が役割ごとの仕事を行います。

役割は、取引の承認を行う「Witness(証人)」、ブロックチェーンの仕様に関する提案を行う「Committee(委員)」、実作業を提案したり実行する「Worker(労働者)」があり、役割に応じた成果によって報酬が支払われます。

選挙権はビットシェアーズ(BTS)の保有者であること、代表者を立てて運営を行うことから保有者が委任した代理人による証明「Delegated Proof of Stake」と呼ばれます。

メリットは代表が承認を行うことによる迅速性と民主的で柔軟な提案や意思決定が行われること、デメリットはPoWに比べてまだ安全性が完全に保証されていないところです。

紹介報酬プログラム(Referral Rewards Program)

ビットシェアーズは仮想通貨としては珍しく、利用者促進のためにアフィリエイトのような紹介プログラムがあります。

このプログラムは前もってBTSを支払うことで利用でき、紹介した人がBTSを使った際の手数料の80%が紹介者へ還元される仕組みです。メンバーランクは3種類存在します。

種類 料金 適用期間
Basic Account 無料 なし
Annual Member 20ドル 1年間
Lifetime Member 100ドル 生涯

1年間のAnnual Memberで20ドル支払うのだったら100ドルで生涯メンバーになったほうが随分お得ですよね。

ビットシェアーズまとめ

もう一度全体像をおさらいしておきましょう。

ビットシェアーズはプラットフォームであり、そのプラットフォームのことをビットシェアーズネットワークといいます。

そのネットワーク上でDEXとして機能しているのが「オープンレジャー」であり、オープンレジャー上で取引き可能なペッグ通貨機能が「スマートコイン」です。

そして、ビットシェアーズ全体の基軸通貨がBTSというコインとして仮想通貨市場にも流通しています。

単なる決済や投資目的の仮想通貨と違い、プラットフォームの概念も含めてビットコイン2.0を目指して開発されたビットシェアーズですが、将来の可能性を感じられるプラットフォームだと分かってもらえたでしょう。

2018年現在、Cryptonomex社自体の開発はほとんど行われておらず、前述したDPoSによって自律的にメンテナンスが行われている状況です。

ビットシェアーズは仮想通貨市場全体でみればまだ利用者が多いとは言えませんが、分散型自律企業(DAC)を軸としているため大きなポテンシャルを秘めているプラットフォームであることは確かです。

2018年はDEXが注目を集める年とも言われているので、オープンレジャーを含めビットシェアーズにもスポットライトが当たる可能性も大いにあると思います。

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