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リスクなく仮想通貨を交換したい
たとえば、自分が持っているビットコインと相手が持っているライトコインをお互いの取り決めで交換したいとしましょう。通常は実際に会ったり、メールなどで連絡を取り合ってビットコインとライトコインを送金しあえば終了です。
ところが、相手が知らない誰か(信用できない相手)の場合、必ずどちらかが先に送金のアクションを起こしますが、先に送金する方は持ち逃げされるリスクが発生します。
そのため通常は信用できる第三者に仲介をお願いすることになります。これが「取引所」を介した最もポピュラーな仮想通貨の取引形態です。
しかしこの場合、万が一ですが取引所が破産したり、取引所自体が持ち逃げをするなどのリスクが考えられます。また当然ですが、取引所を介することで仲介手数料も発生します。
「取引所自体も完全には信用できない……。しかも無駄に手数料もかかる……。」
ちょっと心配し過ぎの気もしますが、このようなリスクを排除するための「アトミックスワップ」という新しい技術があります。
アトミックスワップとは
アトミックスワップ(Atomic Swaps/Atomic cross-chain trading)とは、第三者を介さずに異なる仮想通貨を交換する「技術」のことです。
たとえばオークションサイトやフリマアプリなどで取引を行う場合、必ずどちらかが先にアクションを起こします。片方が送金をした場合、お金を持ち逃げしたり、全く違う商品を送るなど悪意のある人も昔はいたようです。
これを監視して双方の契約が履行されるように仕切る仕組みとして、決済などを自動化するエスクローが開発されました。
アトミックスワップは、簡単に言うと「双方の契約が履行されたかどうか」を自動的に判別するエスクローの役割を担います。
アトミックとは「原子」や「不可分」という意味があるため、アトミックスワップにはこれ以上分けることができないほど最小限での交換(が可能だ)と言い代えることができます。
アトミックスワップのメリット
アトミックスワップは現時点ではまだ検証段階であり、技術的に可能だということが実証されたばかりです。では、アトミックスワップが実用化されると私たちにどのようなメリットがあるのでしょうか。
- 対応する通貨ペアで交換可能になる
- 取引所を介さなくても交換可能になる
メリット1.対応する通貨ペアで交換可能になる
仮想通貨取引所では、フィアット(法定通貨)との交換を除くとビットコイン(BTC)あるいはイーサー(ETH)建ての交換がメインです。
たとえばバイナンスのバイナンスコイン(BNB)やテザー(USDT)建てのように特殊なペアで取引できるケースもありますが、多くは基軸通貨のビットコインやイーサリアムがメインのため、モナコインでリップルを買うなどはできません。
ところが、アトミックスワップが実装、実用化されれば、マイナーコイン同士など柔軟な組み合わせの取引が可能になり、ユーザーの利便性が向上することは間違いありません。
メリット2.取引所の仲介無しで交換可能になる
たとえばコインチェック社のNEM流出後、コインチェックの取引所ではトランザクションに関するすべての機能が停止しました。今現在(2018年2月14日現在)も日本円の引き出しを再開しただけで、交換所の機能は停止したままです。
第三者を仲介するというのは、どれだけ第三者を信用していても常にこういったリスクを背負うということです。
アトミックスワップが実現すれば、冒頭でお話した通り取引所(第三者)が仲介することで発生するリスクを回避して取引を行うことができます。
アトミックスワップの課題・デメリット
もちろんアトミックスワップにも解決しなければいけない課題があります。あくまで現時点なので、今後改善される可能性は大いにあります。
- ブロック追加分の時間がかかる
- トランザクション手数料がかかる
- 対応ペアが少ない
課題1.ブロック追加分の時間がかかる
難しい話は省きますが、ブロックチェーンを使っている以上ブロック追加分の時間がかかる問題には必ず直面します。
参考|初心者も簡単にわかるブロックチェーンの解説とP2Pの仕組み
例えば、ビットコインは1ブロックを生成する間隔が10分です。ところが、アトミックスワップは承認プロセスの仕組み上、複数ブロックにわたることがあるためビットコインよりも時間がかかってしまいます。
課題2.トランザクション手数料がかかる
ブロックチェーン上での処理が発生する以上、送金手数料が発生するのは仕方ありませんが、現在のビットコイン取引では手数料が無視できない金額のため、少額取引でのコストメリットがなくなってしまいます。
これは取引所であろうが何であろうが、トランザクションがある限り発生する問題ではあります。
参考|ビットコイン送金手数料は?各取引所の仮想通貨送付手数料一覧
課題3.対応ペアが少ない
アトミックスワップは実証段階ですが、今のところビットコイン、ライトコイン、Decred、Vertcoin、Viacoin、モナコインが対応しています。
ちなみにモナコインがアトミックスワップに成功した話題は記憶に新しいところですが、一報が出るやモナコインが高騰したほどアトミックスワップに対する期待感と関心の高さが窺えます。
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— 脇P(jinP) (@WakiyamaP) 2018年1月22日
アトミックスワップウォレットaltcoin.ioとは
アトミックスワップの実用化において今最も注目されているのが、「altcoin.io」です。
altcoin.ioとは、アトミックスワップ技術を使った分散取引所機能を持つウォレットです。
本体がウォレットなので本人確認や登録などの煩わしい手続きの必要がなく、ウォレットから直接仮想通貨取引が行える画期的な取引所です。
altcoin.ioは、現在事前登録を受付けいてる段階で、もう間もなく正式サービスを開始するものと思われます。
新しい技術は体験してみて初めてその有用性が実感できるものです。アトミックスワップに興味がある人は、この機会に最新の仮想通貨技術を体験してみてはいかがでしょう。