テザー問題で仮想通貨が崩壊?価格操作やドル未保有疑惑の真相は

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コインチェック事件よりも大きなリスク

仮想通貨市場は常に様々な問題が起こり続けています。

最近の日本国内ではNEMが大量流出したコインチェック事件が話題の中心になっていますが、仮想通貨市場全体を見るとテザー問題の方が重要視されているように思います。

コインチェック事件はおよそ600億円という仮想通貨史上最も大きな流出事件になりましたが、もしかしたらテザー問題は一気に仮想通貨市場すべてを崩壊させてしまう危険性をはらんでいます。

たとえば、テザー問題は2018年1月の連続した下落相場の一因でもあったと見られています。この下落相場で仮想通貨市場から退場した人も少なくないでしょう。

今回は、現在世界的に注目を集めている「テザー問題」とは一体何なのか、今後仮想通貨市場にどのような影響が考えられるのかについてお話したいと思います。

テザーとは

テザーとは、香港に拠点を置くテザー社が発行する仮想通貨です。

テザーが持つ最も重要特徴は、「1USドル=1USDT(USDテザー)」でレートが固定されているということです。

テザーがどのように米ドルとの固定レートを担保しているかというと、テザー発行の際に同じ量のドルを発行元のテザー社が保有するという方法です。端的に言えば、ユーザーから1ドル預かって、1USDT(テザー)と交換しているだけです。

発行されたテザーと同じ額のドルを保有していることこそが、ペッグ通貨であるテザーの唯一にして最大のお約束です。テザーを保有することのメリットは以下を参考にしてください。

参考|ドルと連動する仮想通貨テザーとは?特徴と各国の購入メリット

テザー社に向けられた疑惑とは

さて、テザー(USDT)は他の多くの非中央集権的通貨とは違いテザー社が管理する仮想通貨です。央集権化することで、ドルと同じ価値に固定するペッグ制を成立させています。

ところが2017年のテザー社に色々と怪しい行動が増えています。以下の時系列を見ると、いくつか疑問が浮かぶ人もいるでしょう。

2017年04月|台湾の銀行との関係解消、その後テザー(USDT)を大量発行
2017年09月|第三者による監査が行われずに内部文書公開でその場をしのぐ
2017年11月|自社のウォレットから約30億円以上のテザーが盗まれる
2017年09月-2018年1月|5ヶ月でテザーの発行量が10倍に

テザーの発行量が急激に増えたことに対し、「実は発行済みテザーと同じ量のドルを、テザー社は持っていないのではないか?」という疑惑が2017年末からテザー社に向けられるようになりました。

もちろんテザー社は疑惑を否定していますが、裏付ける証拠、つまり発行したテザーと同額のドルを持っている証拠が出てきません。さらに、第三者監査を請け負った「監査法人フリードマン」からもすでに見限られています。

そんな中、テザー社は米商品先物取引委員会(CFTC)から呼び出しを受けました。CFTCはアメリカ大統領直轄の政府機関で、詐欺や市場操作など不正行為のやマーケットの取引監視を行う権限を持ちます。

このときテザー社とともに世界でも有数の取引高を誇る、香港の仮想通貨取引所「ビットフィネックス(bitfinex)」が、市場操作の疑いを持たれており、テザー社とともに米商品先物取引委員会から呼び出しを受けています。

市場操作疑惑がある取引所ビットフィネックス

2018年1月24日、テザー社が大量にテザーを発行して流通量が10倍に膨らんだ2017年9月から2018年1月の間、ビットコインの不自然な高騰が見られたという匿名レポートが公開されました。

参考|Quantifying the Effect of Tether|www.tetherreport.com

しかも、テザーが新規発行され、ビットフィネックスのウォレットに着金後2時間以内にビットコイン価格が高騰するケースがかなりの数見られたとレポートしています。

このようなチャートの動きは誰でも観測できるため、テザー社とビットフィネックスに何らかの怪しい動きがあるという噂が立つことはある程度仕方がないでしょう。

ビットフィネックスはテザーを広めた取引所としても有名で、USDT建てで3倍のレバレッジをかけられます。背景を考えると、テザー社とビットフィネックスが共謀してビットコイン価格を不当に釣り上げたという疑惑にも信憑性が生まれます。

さらに決定的な事項は、テザー社とビットフィネックスは同じ香港の会社であり、経営者も同じであるという事実です。テザー社とビットフィネックスがグルだった場合、以下の疑念が湧きます。

  • ビットフィネックスはテザーからUSDTを買い付ける時対価を支払っているのか?
  • そもそもテザー社はUSDT発行相当のドルを保有できているのか?
  • ビットフィネックスは顧客の資産を正しく管理できているのか?

万が一、テザー社がUSDTと同量のドルを保有していないことが確定した場合、または何らかの理由でテザー社が経営破綻した場合、管理者と裏打ち資産が同時に失われたテザーの価値そのものがなくなります。

そして、テザーが価値を失うと、これまで取引された他の仮想通貨の価値も大幅に下落する可能性があります。

また、テザーによるビットコインの買い支えがあったとすると、仮想通貨の基軸であるビットコインの価値は下がり、市場全体が道連れになることを意味します。

テザー問題の今後

このような問題に直面しているのが、話題になっているテザー問題です。

テザー社は、現在もテザー発行量と同量のドル(およそ2400億円)を持っている明確な証拠を提示できていません。それどころか、問題が露呈した中でもあらたに6億ドル分の新規テザーを発行しています(2018年1月28日)。

この新規発行によってテザーの発行量は発行上限に達したため、これ以上の発行はできないことになります。

なぜこのタイミングでこのような行動がとられたのか……謎は深まるばかりですが、とりあえず今は動向を見守るしかなさそうです。

リスクヘッジを考えるのであれば、テザーを持っている人、ビットフィネックスに資産を預けている人はテザー問題が解決して落ち着くまでは、一旦避難させたほうが賢明かもしれません。

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