金融庁登録の仮想通貨交換業者と未登録のみなし業者の違い

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コインチェックはみなし業者

現在、日本で仮想通貨を取り扱う(取引所として販売や交換を行う)ためには、金融庁に登録申請をして認可を受けなければいけません。

これは、平成29年4月に施行された「資金決済に関する法律(平成二十八年法律第六十二号)」通称「改正資金決済法」「仮想通貨法」によるもので、認可を受けた仮想通貨交換業者には、担当財務局長の許可ナンバーが付番されます。

参考|仮想通貨法(改正資金決済法)とは?法律改正で何が変わったか

さて、ここで最近話題になるのは金融庁登録済みの仮想通貨交換業者ではない「みなし業者」と呼ばれる存在です。

みなし業者が話題になった理由は、ハッキング被害に遭い580億円相当のNEMが流出した「コインチェック」がみなし業者だったためです。

金融庁に正式に認可された仮想通貨交換業者と認可されていないみなし業者には、どのような違いがあるのでしょうか。

みなし業者とは

ちなみに、みなし(見做し)とは「仮にそうであると想定する」ことです。つまり、みなし業者とは、正式ではないものの正式であるように想定された業者という意味になります。

2018年2月現在において、金融庁登録済みの仮想通貨交換業者は16事業者、みなし業者も16事業者あります。

金融庁登録済|仮想通貨交換業者

  • マネーパートナーズ(未定)
  • QUOINE(QUOINEX)
  • bitFlyer(bitFlyer)
  • ビットバンク(bitbank)
  • SBIバーチャル・カレンシーズ(未定)
  • GMOコイン(GMOコイン)
  • ビットトレード(BitTrade)
  • ビットポイントジャパン(BITPoint)
  • 東京ビットコイン取引所
  • DMM Bitcoin(DMM Bitcoin)
  • ビットアルゴ取引所東京(ARG)
  • エフ・ティ・ティ株(Bitgate)
  • BITOCEAN(未定)
  • フィスコ仮想通貨取引所(フィスコ仮想通貨取引所)
  • テックビューロ(Zaif)
  • Xtheta(Xtheta)

みなし業者

  • コインチェック(Coincheck)
  • みんなのビットコイン(みんなのビットコイン)
  • Payward Japan(Kraken)
  • バイクリメンツ(レムリア)
  • CAMPFIRE(FIREX)
  • 東京ゲートウェイ(東京ゲートウェイ)
  • LastRoots(c0ban取引所)
  • deBit(Smart Order)
  • エターナルリンク(ETERNALLIVE)
  • FSHO(BCエクスチェンジ)
  • 来夢(悟 Satori)コイン
  • ビットステーション(ビットステーション)
  • ブルードリームジャパン(未定)
  • ミスターエクスチェンジ(Mr. Exchange)
  • BMEX(BMEX取引所)
  • bitExpress(BitExpress)

参考|仮想通貨取引所一覧「金融庁登録済み業者」と「みなし業者」 | FIN-ROUND

金融庁の認可を受けるためには、金融庁が定めるガイドラインを満たす必要があります。では今現在、金融庁未認可のみなし業者が法律違反をして営業しているかというとそうではありません。

金融庁によると、改正資金決済法施行以前に仮想通貨交換業を行っていた事業者が平成29年4月1日から6か月以内に金融庁に登録申請をした場合、登録の可否処分があるまでは仮想通貨交換業を継続できるとしています。

資金決済に関する法律の一部改正に伴う経過措置により、平成29年4月1日より前に、現に仮想通貨交換業を行っていた者は、平成29年4月1日から起算して6月間に登録の申請をした場合は、その期間を経過した後も、その申請について登録又は登録の拒否の処分があるまでの間、当該仮想通貨交換業を行うことができるとされています。

引用|仮想通貨交換業者登録一覧

コインチェックは2014年09月19日に事業を開始し、その後登録申請をしているため、現在まで金融庁の認可がなくても営業ができていたということです。

もちろん、お役所仕事の進みが遅いことはわかっていますが、利用者は日々増えていきます。丁々発止のポーズもないまま「みなし業者」という存在を残してきたツケが、NEM流出事件として廻ってきたのかもしれません。

仮想通貨交換業者の新規登録の審査内容

では、金融庁は登録申請をした新規仮想通貨交換業者に対して、どのような審査を行っているのでしょう。

金融庁に登録申請する仮想通貨交換業者は、基本的に仮想通貨交換業について定めた「事務ガイドライン第三分冊」を満たさなければいけません。

参考|事務ガイドライン 第三分冊:金融会社関係 16. 仮想通貨交換業者関係|金融庁

さらにガイドラインの中で以下の三要件について確認審査を行っています。

以下参考|仮想通貨交換業者の新規登録の審査内容等|金融庁

要件1.利用者保護措置

たとえば「法定通貨ではないこと」「価格変動に伴う損失リスクがあること」など、取り扱う仮想通貨の特性や取引形態に応じて利用者に説明する態勢が整備されているか。
(事務ガイドラインII-2-2-1)

要件2.利用者が預託した金銭・仮想通貨の分別管理

金銭・仮想通貨それぞれについて、事業者の社内規則に分別管理の方法が具体的に定められ、その定めが利用者との契約に反映されているか。

また、事業者の金銭・仮想通貨と利用者が預託した金銭・仮想通貨が上記の執行方法に基づいて明確に区分され、個々の利用者の持分を直ちに判別や検証できるようにしているか。
(事務ガイドラインII-2-2-2)

要件3.システムリスク管理

十分なネットワークセキュリティを持ち、リスクが顕在化した場合にその影響が拡大するなど経営に重大な影響を与える可能性を十分踏まえたリスク管理態勢を整備しているか。

システムリスク管理態勢の整備は客観的な水準が判定できる根拠があるか。 また、システムリスク管理態勢として、システム障害等の把握・分析、リスク管理の実施結果や技術の進展具合に応じて、見直しの態勢が整えられているか。
(事務ガイドラインII-2-3-1)

みなし業者をどう評価すれば良いか

金融庁が仮想通貨交換業者に必要と定めた「事務ガイドライン第三分冊」には、金融業を営む業者として極めて一般的なことが記載されています。

そのため、本来であればみなし業者は外部監査に力を入れて管理体制を築き、金融庁と何度も協議を重ねて迅速に認可を得る必要があり、それをせずに流出事件を起こしたコインチェックは怠慢以外の何物でもないでしょう。

ただし、コインチェック流出事件が起きた原因とされる「コールドウォレットではなくホットウォレットでの管理」「マルチシグではなくシングルシグでの管理」は、金融庁のガイドラインには含まれていません。

金融庁はあくまでも十分システムリスクへの備えと不断の見直しを要求しているに過ぎません。つまり、今回のコインチェックによる流出事件は単純に「みなし業者だったから流出した。」とは言えないのです。

今後、仮想通貨交換業者に対する金融庁の審査において、利用者保護の観点がより強化されることは間違いないでしょう。

ただ、仮想通貨市場が成熟していない以上、たとえ金融庁認可の仮想通貨交換業者であってもこのようなリスクは起きる可能性があります。

今仮想通貨を購入している人にとって、仮想通貨の信頼が高まり、価格が上がっていくことは歓迎すべきことです。そのためには、仮想通貨の印象を悪くしないよう、わたしたちひとりひとりが十分なリスクヘッジをしなければいけません。

金融庁登録の仮想通貨交換業者と未登録のみなし業者をどう評価するかではなく、まずはわたしたちが仮想通貨を正しく取り扱い、仮想通貨を資産として自衛する手段を備えておきましょう。

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