仮想通貨のICOとIPOの違いは?トークンセールの危険性とは

この記事は約 6 分で読めます。

IPOとは

IPO(Initial Public Offering)という言葉は聞いたことがありますね。IPOとは、未上場企業が市場公開前に証券会社を通して自社株を投資家へ売り出すことを言います。

その後、未上場企業が証券取引所に上場すると、市場で初めて自社株に値段が付きます。これを「初値(はつね)」と言いますが、多くの場合、株式の初値はIPOで入手した金額よりも高値が付きます。この差額で利益を生むことが「IPO投資」です。

株式投資は企業の経営状況はもちろん、経済全体の動き、市場の動向などあらゆる情報を鑑みて投資対象を決めなければいけませんが、IPO投資の大半は初値売りで利益が出せるため、人気の投資方法になっています。

このIPOと同じように、仮想通貨の世界でも新しい投資として「ICO」という方法があり、2017年はICO市場規模が4000億円にせまるほど拡大しています。

ではICOは具体的にIPOとどのような違いがあるのでしょうか。また、わたしたちがICOを取り組む上で何か注意点などはないのでしょうか。

ICOとは

ICO(Initial Coin Offering)とは、仮想通貨取引所で販売を開始(上場)する前にオリジナルのコイン(トークン)が買える仕組みのことです。

ICOはプロジェクト独自のトークンを発行して売り出すことから、トークンセールやトークンオーディション、またクラウドセールなどとも呼ばれます。

上場前に買えるところはIPO同じですが、ICOはどちらかと言うとクラウドファンディングの性質が強く、資金集めの手段として用いられます。

参考|新しい資金調達方法クラウドファンディングとICOの仕組みの違い | FIN-ROUND

IPOはそもそも株式会社で、かつ証券取引所が定める基準をクリアしなければなりませんが、ICOはコイン開発者であれば株式会社の必要はなく、仮想通貨取引所が設ける基準も厳しくありません。

ホワイトペーパーの重要性

では、コイン開発者が資金を募る際、投資家は何を根拠に投資判断を下すのでしょうか。

ICOでは組織の規模や売上高などの基準よりも、革新的で将来性のある技術かどうかの方が重要です。そして、革新的で将来性のある技術かどうかを見極めるためには、ホワイトペーパー(目論見書)を使います。

ホワイトペーパーとは、コイン開発者が開発するプロジェクトの説明や将来性などのプレゼンテーション、プロジェクトに参画しているスタッフのプロフィールなど、あらゆる情報がまとめられた資料です。

各投資家はこのホワイトペーパー(目論見書)を元に投資判断を下します。そのため、コイン開発者はホワイトペーパーを魅力的に仕上げる必要があり、投資家はホワイトペーパーからすべてを読み解く必要があります。

ICOとIPOの違い

ICOとIPOでもっとも大きく異なるのは取り扱うもの(販売するもの)です。ICOでは仮想通貨のコイン(トークン)、IPOは株式です。

ご存知のとおり、株式は企業が株券を発行し、投資家へ販売することで資金調達を行います。購入した投資家は、保有数に応じてその企業から様々な優待を受けたり、議決権を行使して株主として企業経営に意見することができるなどの見返りがあります。

当然、投資先企業の業績が上がれば株式の価値も上がり、売却利益による投機対象としても利用することが可能です。

一方、ICOで販売されるコインあるいはトークンの場合、それを保有することでのメリットはあまりありません。

ICOを実施している組織の推進するプロジェクトの将来性に期待し、取引所上場後のコインの価値が上がることを期待して投資を行います。

とはいえ、販売されるコインのプロジェクトによって、そのコインが持つ機能は様々ですので、必ずしもこの限りではありませんが、IPOに比べるとICOの方が投機性が高いと言えます。

また、不特定多数から資金を調達するという意味においてはどちらも共通していますが、IPOは証券会社が取り仕切って売りに出すのに対し、ICOはそういう主体になる会社などは特にありません。

ちなみにIPOは原則的に抽選販売ですが、ICOは誰でも買うことができます。

以下にその他も含めて違いをまとめてみます。

ICO IPO
売出し主体 特になし 証券会社
監査の有無 なし あり
実施基準 なし あり
金融商品 コイン、トークン 未上場株式
販売方法 公式サイトを通じて誰でも購入可 原則抽選販売
優待 なし ある場合が多数
議決権 なし あり
上場対象 仮想通貨取引所 証券取引所
上場の確実性 必ずしも上場するとは限らない 必ず上場

上記を見るとわかると思いますが、ICOの基準はIPOに比べて非常に緩やかです。そのためさまざまなトークンが乱立し、中にはトークンで資金を集めるだけの詐欺行為も横行しています。

もちろん、IPOは主幹事となる証券会社が金融庁の取り決めに従って運用しているため、通常はICOのような詐欺行為は起こりません。

ICOで詐欺が起こる理由

では、もう少しICOで詐欺が横行している理由についてお話しておきましょう。

理由1.誰でもICOが実施できる

IPOを実施するためには、証券会社、証券取引所に対する厳しい基準をクリアする必要があり、どのような企業でも行えるわけではありません。

ところがICOは、極端なことを言えばホワイトペーパーにそれらしいことを書き、ウェブサイトやSNSなどで巧妙にアクティビティを演出すれば、誰でも資金集めが可能です。

残念なことに基準がゆるいICOでは、真面目にプロジェクトを発足して、将来のために資金集めを計画しているベンチャーばかりではありません。

本当に有望なICO案件を見極めることは難しく、有識者でも有望なICO案件と詐欺案件の判別はつかないと言います。

理由2.上場で価格が高騰する

仮想通貨時価総額2位のイーサリアムがICOを使って上場したことで、ICOが一気に注目され続々と新たなICOが実装されるようになりました。

現時点ではICOで手に入れたコイン(トークン)が取引所への上場を果たした場合、その多くは価格が高騰するため資金集めとしては魅力的です。

イーサリアム(Etheraum)はICOで15億円相当を調達した後、イーサ(ETH)が順調に価値を上げ、現在の時価総額(Market Cap)はおよそ10兆円に至ります(2018年1月現在)。これはビットコインに次ぐ時価総額規模です。

日本円換算の時価総額=94,952,005,768$×110円=10兆4447億21634480円

プレセール時の1ETHは26円ほどのため、現在はおよそ3800倍……1万円でも3800万円……。このイーサリアムの成功体験が個人投資家をICOという鉄火場に駆り立てていることは間違いないでしょう。

引用|新しい資金調達方法クラウドファンディングとICOの仕組みの違い | FIN-ROUND

だからこそ、その期待感を狙ったICO詐欺も生まれます。

ICO詐欺にはご注意を

以上、ICOとIPOの違いと危険性についてお話ししてきましたがいかがでしたでしょうか。

手堅く利益を生みたい場合、IPOは大変良い商品ですが、いかんせん抽選販売なのでそもそも手に入れられるかどうかは運次第です。一方のICOは、本物を見つけられる知識と語学力が必要になります。

コイン開発者の中には「政府公認」「独占販売」「保証」などの言葉を使って、独自のICOで資金を集めるだけ集め、取引所に上場しないまま消えてしまうパターンも数多くあります。

ICOは詐欺かどうかの見極めが非常に難しいため、慣れないうちは手を出さないのが賢明です。正しい知識を持ち、悪質な罠にはまらないよう気をつけてください。

ICOに関する悪質な行為ついては、金融庁からも注意喚起がされています。ICOには魅力がありますが、それだけリスクも有るということを覚えておきましょう。

参考|[PDF]ICO(Initial Coin Offering)について ~利用者及び事業者に対する注意喚起~

役に立ったらシェアしてね