新しい資金調達方法クラウドファンディングとICOの仕組みの違い

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昨今の資金調達事情

個人投資家が新しいビジネスモデルに気軽に投資をする流れが広がりつつあります。

個人投資家というとこれまではエンジェルと言われ、ビジネスモデルの将来計画や企業の財務諸表、または代表者の資質などを推し量る力をもったアントレプレナーがその役割を担っていました。

要は力がある個人に見初められなければ、新しい企業や若手の事業家は投資を受けることが難しかったのです。

ところが昨今は、新商品やビジネスモデル、または課題解決への情熱を応援したい気持ちを持つ個人が少額から投資できる仕組みがあり、以前よりも気軽に資金調達が行えるようになりました。

その1つが「クラウドファンディング」という資金調達モデルです。クラウドファンディングは、インターネットが発達し多くの人がスマホなどの通信デバイスを持つようになったため急激に拡大しています。

そしてもう1つが「ICO(Initial Coin Offering)」です。ICOは、仮想通貨の技術を活かして企業などが独自の仮想通貨(トークン)を発行・販売することで資金調達を行います。

では、もう少しクラウドファンディングとICOの仕組みについて掘り下げてみていきましょう。

クラウドファンディングとは

クラウドファンディングとは、企業などがビジネスアイデアや新しい製品をネットで公開し、一般ユーザーから資金提供を募る新しい資金調達方法です。

一般的に資金調達というと株式上場(IPO)や社債が考えられますが、どちらもハードルが高い資金調達方法です。また、私募債や少人数私募債という方法もありますが、自力で引受人を募るため知り合いが中心になり、抵抗を感じる人もいるでしょう。

対してクラウドファンディングはネットで広くビジネスモデルや新商品を紹介でき、賛同者から投資を得るため短期間で多くの資金調達ができるだけでなく、資金の集まり具合によって今後のサービススケールを予測することができます。

個人投資家に対しては、目標の資金調達が成功した場合に分配金(財務登録業者のみ)や商品・サービスがリターンとして提供されます。

ただし、比較的簡単で心理的ハードルも低く資金調達できるものの、億単位の資金調達はまだ難しく、これまで1億円以上の資金調達ができたプロジェクトは数件しかありません。(「えんとつ町のプペル」のように複数回で1億円を突破したパターンもあり)。

参考|自転車+バイク=glafitバイク スマートな折り畳み式電動ハイブリッドバイク | クラウドファンディング – Makuake(マクアケ)
参考|世界初、ハイレゾ級骨伝導CLIP型イヤホン「EarsOpen(EO)」 | GREEN FUNDING by T-SITE

ICO(Initial Coin Offering)とは

ICO(Initial Coin Offering)とは、資金調達を行いたい企業などが新しい仮想通貨を発行して資金を調達する方法のことで、「クラウドセール」や「トークンセール」とも呼ばれます。

資金調達したい企業は、仮想通貨の技術を利用してプロジェクト独自の「トークン(仮想通貨)」というデジタル権利証を発行し、投資家の出資額(ビットコインやイーサリアムなど)に応じて出資者にトークンを提供します。この資金調達ラウンドを「プレセール」と言います。

もしこの企業のプロジェクトが成功して事業が拡大した暁には、トークンの価値も上がり投資家の利益になります。この辺りはIPOに似ていると言っても良いですね。

出典|【図解・経済】新規仮想通貨公開(IC0)の仕組み(2017年9月):時事ドットコム

上記のメリット通り、企業はIPOより低いハードルで出資を募ることができ、世界中のライトな出資者からの投資を期待できます。一方、企業の資金調達ハードルが低いため単なるお金集めを目的とした詐欺まがい(というか詐欺)のICOが多いことも事実です。

ICOのリスクは以下を参考にしてください。ちなみにIPOとは「Initial Public Offering」の略です。

参考|仮想通貨のICOとIPOの違いは?トークンセールの危険性とは | FIN-ROUND

クラウドファンディングとICOの比較

では、紹介したクラウドファンディング(CF)とICOの特徴を表にしてみます。

CF ICO
出資対象 法定通貨 仮想通貨
提供する金融商品 商品やサービス(一部分配金) トークン
投資家心理 共感・応援 投資・投機
集められる資金 少ない 多い
出資者の属性 主に同一言語圏 グローバル

こうして比較してみると、クラウドファンディングは一部のプロジェクトを除いて共感や将来性に対してお金を投資することに対し、ICOは今の仮想通貨バブルで得られる大きなキャピタルゲインを期待していることは間違いありません。

つまりICOに投資する人は、そのプロジェクトの将来性云々よりも「今なら儲かる!」という思いが強いということです。翻って、そのような地合いだからこそ企業などは資金調達が容易だとも言えます。

たしかに、イーサリアム(Etheraum)はICOで15億円相当を調達した後、イーサ(ETH)が順調に価値を上げ、現在の時価総額(Market Cap)はおよそ10兆円に至ります(2018年1月現在)。これはビットコインに次ぐ時価総額規模です。

日本円換算の時価総額=94,952,005,768$×110円=10兆4447億21634480円

プレセール時の1ETHは26円ほどのため、現在はおよそ3800倍……1万円でも3800万円……。このイーサリアムの成功体験が個人投資家をICOという鉄火場に駆り立てていることは間違いないでしょう。

では、もし今後ある企業やプロジェクトチームで資金調達が必要になった場合、クラウドファンディングとICOのどちらを使えば良いのでしょうか。

今現在の地合いを鑑みて個人的な意見を言うなら、「とにかく世界中からお金を集めたい!」「ドカンと一発当てたい!」と思えばICO、日本国内で地道に進めていきたいと思えばクラウドファンディングとなるでしょうか。

実は先日わたしに「ICOやりたいんだけど、運営とか相談に乗ってくれない?」というお話がありました。正直なところ今は監視の目が厳しく、「ICO=怪しい」と考える人も少なくないため、個人的な意見として良いプロジェクトでなければ見合わせるべきだとお話をしました。

もちろん先行者メリットは大きいのですが、それ以上に企業の信用を傷つけるリスクもあります。ICOによる資金調達は今後3年で方向性が決まっていくので、ある程度見極めてからでも良いとは思います。

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