仮想通貨のトラストレスの意味は?信用できる社会の仕組みとは

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信用・信頼は誰が決めている?

みなさんが普段の生活で何気なく使うお店や人と接する際の行動のほとんどが「信頼」「信用」で成り立っていると考えたことはあるでしょうか。

普段利用するスーパーマーケットはどういった理由で利用しているのでしょうか。自宅から近いから、駅から近いから、品揃えが豊富だから、値段が安いからなど理由は様々です。

ただ、もっと根底の部分で言えば、誰もが無意識にそのスーパーを信頼しているはずです。たとえば置いてある商品に対して、「食べると害になる毒物は置いていないだろう」という信頼です。

もし毒物が置いてあれば、あなたはそのお店では買い物をしません。もちろん、あなた意外の人も買い物をしません。そうするとそのスーパーは、運営できなくなります。これが信用・信頼がなくなるということです。

毒物は極端だとしても、食肉の産地偽装や賞味期限表示の改ざん、不衛生な環境などがないかどうか、人によって信用・信頼の度合いは異なりますが一定の信用・信頼の線引をして生活しています。

ただ、この信用・信頼は曖昧なものだと思わないでしょうか。

さて、前置きが長くなりましたが、今回は仮想通貨界隈でよく出てくる「トラストレス」という言葉についての解説です。仮想通貨におけるトラストレスによって、信用・信頼が曖昧なものではなくなるかもしれません。

トラストレスとは

トラストレス(trustless)とは、「信用ならない・信頼のない」という意味ですが、仮想通貨におけるトラストレスは「信頼がいらない」という意味で使われます。

たとえば、大切なお金や資産は銀行や証券会社に預けます。預ける際は、もちろん銀行や証券会社を信用していますね。

では、なぜ銀行や証券会社を信用しているのでしょうか。考えられる理由の1つは、その金融機関のネームバリューです。大手で名前が有名な銀行や証券会社ほど、”信頼できると”思っているはずです。

実際、どの銀行や証券会社も顧客と取引を行う場合は信用第一が当たり前です。何か不祥事などを起こせば、信用はなくなり事業が営めなくなります。

このように信頼できる第三者機関を「Trusted third party(トラステッド・サード・パーティー)」といいます。

わたしたちは日常生活のほぼ全てにおいて、信頼できる第三者機関が存在しています。それくらい現在の経済活動ではトラステッド・サード・パーティーが当たり前の存在です。

ところが、ビットコインが世間で注目されている理由の1つに「トラストレス」の実現があります。初めて「信頼できる第三者を必要としない仕組み(トラストレス)」を成立させるのがビットコインだということです。

トラストレスを可能にした驚異的な仕組み

ビットコインはウエイ・ダイの仮想通貨のコンセプトをサトシ・ナカモトが論文化し、実現したものです。

ビットコインは、1998年にサイファーパンクのメーリングリストで、ウエイ・ダイが説明した「仮想通貨」のコンセプトを実現したものです。このコンセプトは、中央権力ではなく、その製造と取引に暗号学を使った新しい通貨の形状を使おうと提案したものです。

引用|よくある質問 – ビットコイン

この仮想通貨構想には「性悪説」が根底にあり、誰も信用する必要がない以下3つのトラストレスな仕組みによって実装されています。

  1. ブロックチェーン技術
  2. マイニングシステム
  3. 非中央集権化

1.ブロックチェーン技術

ブロックチェーン技術におけるトラストレスとは透明性です。

ブロックに記載される取引記録は原則として誰でも参照できます。つまり、取引に対する不正な動きがないか利用者全員が確認、監視できるわけです。

この透明性が不正に対する抑止力として働きますし、後述するマイニングシステムによって、ブロックチェーン自体の改ざんをほぼ不可能にしています。

改ざんの心配がない取引台帳、分散保存によって消失の心配がないデータ、かつ誰でも参照できる全ての取引記録はすべて透明性の担保につながります。

ブロックチェーンに関する詳細説明は以下を参考にしてください。

参考|初心者も簡単にわかるブロックチェーンの解説とP2Pの仕組み | FIN-ROUND
参考|仮想通貨に使われるブロックチェーンの仕組みとメリット・デメリット | FIN-ROUND

2.マイニングシステム

ブロックチェーンがトラストレスに寄与しているのは前述の通りですが、ブロック自体への記録、承認、ブロック生成を行っているのは「マイナー」と呼ばれる不特定多数の参加者です。

マイナーは自前のマシンを使用してビットコインネットワークに接続し、世界の誰かが取引の承認依頼をした時に、取引の正当性を確認し問題がなければ承認する形を取っています。

その時、マイナーは誰のどういった取引を承認するかには一切関与せず、ブロックチェーン上の暗号を解読し、取引が正しいかどうかだけを機械的に処理しています。

また、新しいブロックを作る際も参加者全員が同時に処理を開始し、最も速く処理を終えた人に報酬も付与するという仕組みのため、たとえ悪意のある参加者が混じっていても物理的に処理が追いつかず、結果として高い改ざん耐性を持つことになります。

これらマイナーが行う一連の作業を「マイニング」といいます。

特定の誰かに取引承認やブロック生成をさせず、公平に都度仕事量が最も多かったマイナーに権利が行く仕組みのため、実質的に台帳の書き換え等の行為ができない仕組みになっています。

マイニングの詳細は下記を参照してください。

参考|プルーフオブワーク|PoWとプルーフオブステーク|PoSの違い | FIN-ROUND
参考|ビットコインマイニングとは?今から始めていくら儲かる? | FIN-ROUND
参考|ソロマイニング、マイニングプール、クラウドマイニングの違い | FIN-ROUND

3.非中央集権化

そして3つ目が、非中央集権化の実現です。

信頼できる第三者機関(Trusted third party)が信頼できる所以は、管理者に対して信頼が置けると判断しているからに他なりません。

そういった管理者がいる状態を中央集権ということに対して、誰も管理しておらず権限を持つ特定の主体者がない状態を「非中央集権」といいます。

ビットコインには開発者は存在しますが、特定の管理者は存在しません。データを保管する特定のサーバーもありません。ビットコインを動かすプログラムも公開されており、誰でも中身を参照できます。

つまり、一旦稼働が始まった後は、利用者とマイナーで自律的に運用されているわけです。このような管理者の存在しない仕組みこそが、トラストレスの重要なファクターになります。

なぜなら、権限を持っている管理者が信頼できるかどうかを疑う必要性がそもそもないからです。誰も権力を保持しないため、人為的に悪用されたり、乱用されることが起こり得ないわけです。

トラストレスが評価される理由

日本のバブル崩壊では大手の証券会社や銀行でさえも経営破綻したり、統廃合が起こるなど、絶対的な安心・信用はどこにも存在しなくなりました。

翻ってわたしたちは、管理者が存在する企業組織は人が運営している以上人為的な事件や事故などのリスクをゼロにできないことをわかっています。

このような環境の中で人による管理を撤廃し、信頼によって成立していた曖昧なファクターをなるべく排除して自律的に運用されるトラストレスなシステムは、現代のニーズにもマッチしているものだと言えます。

仮想通貨そのものの投機性や投資性、将来性は一旦横に置くとしても、このトラストレスな取引プロセスとシステムに関しては、世界中から注目を集める新しい技術・概念であることが理解できますね。

誤解のないように言っておくと、よく耳にするビットコインのハッキング被害は、あくまで取引所がハッキングを受けて盗難されているもので、これまで一度としてブロックチェーン技術が破られた事例はありません。

参考|ビットコインなど24の仮想通貨ハッキング・流出事件と被害額まとめ | FIN-ROUND

このように、トラストレスとは無理に相手を信頼したり、信用があると思い込む必要がない仕組みなわけです。

トラストレスな仕組みがもっと身近なところにも実装されれば、人による曖昧な信用・信頼の基準はなくなり、今よりもっと安心できる社会の仕組みが整備されるのかもしれません。

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